リキッド式電子タバコは「VAPE」と呼ばれ、アトマイザーとというタンクにリキッドを注入し、気化させた蒸気を吸って楽しむアイテムです。
日本で販売されているリキッドは薬事法で制限されているためニコチンが含まれておらず、禁煙目的でVAPEをはじめる方も少なくありません。
ただし、タバコとは呼ばれるものの、紙巻タバコと異なり、VAPEは使い続けるうちに内部に汚れや焦げが付着して発生する煙の量が減ってしまったり、リキッドの味が悪くなったりするほか、VAPE自体の故障の原因となることがあります。
このため、VAPEを長く使い続けるためには、日ごろのお手入れやメンテナンスが欠かせません。
そこで、VAPEの正しいお手入れやメンテナンスの方法を覚えておきましょう。
VAPEをお手入れする方法
VAPEをお手入れするには、主に以下の3つの方法があります。
- エタノールを使用する
- 超音波洗浄機を使用する
- 水、あるいはお湯を使用する
では、実際にはどのようにお手入れすればよいのか、それぞれの方法を見ていきます。
エタノールを使用する
VAPEのお手入れといっても、基本的に行うのはアトマイザーと呼ばれる噴霧器の部分です。
ここに汚れが付着すると、煙の量が減ったり味が悪くなったりします。
エタノールとはいわゆるアルコールで、極めて濃度が高く水が含まれていない無水エタノールや、やや希釈された70%エタノールが殺菌作用が高くVAPEなどの電子機器の洗浄に適しています。
特に70%エタノールなら、含まれている水分によってエタノールが細胞膜を変性し、透過したエタノールは菌の内圧を高くして菌を溶かすので、無水エタノールよりも高い殺菌効果が得られます。
また、少量の水分を含んでいることで引火性もやや低くなっているため、安全にお手入れすることもできます。
エタノールでVAPEをお手入れするのは簡単で、いわゆるバッテリーであるMODとアトマイザーを分離し、アトマイザーを蓋のできる手ごろな容器に入れたエタノールに漬けます。
これを1~2分ほど振るようにして容器からアトマイザーを取り出し、よく乾燥させれば完了です。
このとき、エタノールを拭き取るために、油や汚れを取る紙製のウエスであるキムワイプがあると、ティッシュのなどようにパルプくずが出ないので便利です。
超音波洗浄機を使用する
もし、超音波洗浄機をお持ちであれば、手軽にアトマイザーを洗浄することができます。
洗浄方法も、アトマイザーと水を入れ、スイッチをオンにするだけととても簡単です。
ただし、稀により高い洗浄効果を得るために、水の代わりにエタノールを使用する方法が紹介されていることがありますが、これは火災の危険があるため、おすすめできません。
水、あるいはお湯を使用する
アトマイザーをもっとも手軽にお手入れできるのは、水、あるいはお湯を使用する方法です。
手軽なだけに、定期的に行うのがおすすめです。
手順としては、分離したアトマイザーを適当な容器に入れた水、あるいはぬるま湯にいれ、タンク内部に付着しているリキッドをやわらかい歯ブラシなどで取り除きます。
このとき、アトマイザーに付属している吸い口であるドリップチップの汚れが落ちにくい場合には、スポンジと中性洗剤を使うとよいでしょう。
ただし、硬いスポンジを使用するとドリップチップの表面が削れてしまうことがあるので注意が必要です。
こうして汚れを洗い落としたら、仕上げに殺菌消毒を行います。
これは、VAPEのリキッドにはベジタブル・グリセリンが使用されており、この成分は雑菌が繁殖しやすいためです。
一般的に殺菌消毒は65℃のお湯に30分間漬けるか、あるいは100℃の熱湯で15分間煮沸消毒します。
使用しているVAPEのアトマイザーの素材が高温に弱い場合には、芽胞を持たない大半の病原菌は65℃のお湯で30分加熱することで死滅するため、あえて熱湯を使用する必要はありません。
殺菌消毒まで完了したら、アトマイザーをきちんと乾燥させます。
このとき空気穴であるエアフローなどに入り込んでいる水分は、ティッシュペーパーなどで吸い出すようにするとよいでしょう。
VAPEのお手入れの際の注意点
VAPEは電子機器のため、お手入れの際は取扱いに注意しなくてはなりません。
注意を怠ると、最悪の場合VAPEの故障や破損の原因になります。
VAPEは水に触れさせない
MODをはじめ、VAPEは基本的に防水加工が施されていないため、アトマイザー以外は水に触れさせてはいけません。
また、MODとアトマイザーの接続部分に水やリキッドが付着しているとシュートの危険性があるため、お手入れの際には水分をよく取り除いてから組み立てるようにしましょう。
各パーツのは締め込みすぎに注意する
VAPEのパーツはさまざまな部分がネジ状になってそれぞれが接続できるような構造になっています。
これらのネジ山は細かいものが多く、締め込みすぎてしまうとネジ山がつぶれたり、硬く締まりすぎたりしてしまい、外れなくなってしまうことがあります。
また、煮沸消毒など高温の影響を受けると金属パーツは膨張し、この状態で無理に組み立てようとすると破損してしまうこともあります。
このため、煮沸所毒を行った後は、きちんとパーツが冷めてから組み立てるようにしなければなりません。
このほかアトマイザーがガラス製の場合には、煮沸消毒の際に熱で変形してしまうこともあるので、急激に熱を加えることは避けるようにしましょう。
お手入れの頻度
VAPEは基本的にリキッドを交換するたびにお手入れするのが理想です。
しかしながら、このように頻繁にお手入れするのは現実的に難しいため、ひとつの目安としては、味が変わってきたり、煙が乾いたようになったときがそのタイミングです。
ただし、この見極めが難しい場合には、雑菌を繁殖させないためにも、お湯や水を使う方法であれば週1回程度、エタノールや超音波洗浄を使用するのであれば2週間~20日程度が一定の目安となります。
VAPEのメンテナンス
VAPEは使用しているうちに消耗品が劣化したり、トラブルが起こる可能性もあります。
このため、日ごろのお手入れだけでなく、メンテナンスも欠かせません。
定期的なコイルの交換
VAPEの味や煙の量に最も影響してくるのがリキッドを加熱するためのコイルです。
このコイルは通常2週間~3週間で交換が必要になります。
使用頻度や製品の特徴、使用するリキッドの種類によっても異なりますが、リキッドの味が感じにくくなったり、あるいは煙の量が少ない、また味がおかしかったり苦いと感じるようになったらコイルを交換するタイミングと考えてよいでしょう。
このほか、コイルのウィックと呼ばれる綿を焦がしてしまった場合や、リキッドを変えた際に以前のリキッドの味が残るのを防ぐためにはコイルユニットを交換する必要があります。
リキッドが結露した場合
アトマイザーで蒸気化したリキッドが結露すると、エアフローなどに溜まってコップに残った最後の飲み物をストローで枢要な音がすることがあります。
こんなときはティッシュペーパーなどで溜まったリキッドを吸い取るか、ドリップチップから強く息を吹き込んでリキッドをエアフローから排出するようにします。