一仕事終えた後のタバコは非常においしいものです。
それまでの緊張がほどけるような感覚は唯一無二のものであり何事にも替え難いもの。
ただ残念なこととして、タバコは決して健康に良いというわけではないのです。
広く知られていることではありますが、タバコには様々な有害物質が含まれています。代表的なものとしてはニコチンとタールをあげることができるでしょう。
タバコを吸っていると、そうしたことを頭のどこかで分かってはいるものの理解することを脳が拒むものです。
ですがもし電子タバコに興味があるのなら、一度このあたりのことについてしっかりと把握しておくと良いでしょう。
紙巻タバコが由来の健康リスクについて知れば電子タバコへ切り替える気も沸くというものです。
有害物質をじっくりみてみよう
厚生労働省が公開している資料に「平成11−12年度たばこ煙の成分分析について」というものがあります。
※参照:https://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/seibun.html
ここでは平成11年から12年度に渡り、国内で販売されているタバコ銘柄をカナダの研究機関で分析した結果が掲載されています。
水分・一酸化炭素・ニコチン・タール・カルボニル類・ベンゾピレン・窒素酸化物・シアン化水素・アンモニア・有機化合物・ニトロソアミン類。
一体何のことやらという物質もたくさんありますが、有害そうなものも見受けられます。
そのあたりを探っていきましょう。
一酸化炭素の害
疲れているときにタバコを吸うと息切れするものですが、その原因は恐らく一酸化炭素です。
通常、炭素を含んだものを燃やすとそこからは二酸化炭素が出るのですが、タバコの場合に出るのは一酸化炭素。
不完全燃焼の状態になると一酸化炭素を出してしまうのです。
そして一酸化炭素は血中のヘモグロビンと結びつきやすいという性質を備えています。
ヘモグロビンは血液における酸素の運搬役です。
そんなヘモグロビンが一酸化炭素の運搬をしてしまったら酸素を運べなくなってしまい、体は酸欠のような状態になってしまいます。
また酸欠状態なので僅かな酸素を逃がすまいと赤血球の数は増え、動脈硬化の原因ともなることがあるとか。ともかく健康には良くなさそうです。
やっぱり気になるニコチンの作用
ニコチンはタバコの有害物質の代表的な存在のように思われるかもしれませんが、ここでニコチンの作用をおさらいしておきましょう。
ニコチンは脳に作用し快楽物質と呼ばれるドーパミンの分泌量を増やします。
そして次第にニコチンを受け止めるニコチン受容体が増加し、もっとドーパミンを欲するようになるのです。
他にも覚醒作用や気分の調整などにもニコチンは作用するので、脳の機能がニコチンに委ねられたように状態になるといえるかもしれません。
そのためニコチン自体が何か悪さをするというよりは、ニコチンに依存してしまうというところが害といえるでしょう。
またニコチンに依存して脳の調子を調整するのはあまり好ましい状態とはいえなさそうです。
発ガン性物質も含むタール
ニコチンと並んで有害性が訴えかけられているタール。かつて保健室の壁面に真っ黒な肺の写真が貼り付けられていたりしました。
ただその写真は適正でない実験の結果だったりするのですが、それはともかくとしてタールは有害物質です。
様々な有害物質の集まりである小さな粒のことを総称してタールと呼んでいるわけです。
言い換えるとタバコ葉にはたくさんの有機化合物が含まれており、これを燃やすとタールが出てくるという形になります。
そしてタールの中には有害物質がたくさん含まれており、中には発がん物質もあるのです。
といってもタバコを吸ったからといってすぐガンになるわけではありません。
1本あたりは微量ですし、人体からすれば非常に少ない量しか含まれていないのです。
ですがチリも積もれば山となるという言葉もあるように、毎日吸っていれば次第に取り込む量も多くなってくるでしょう。
呼吸器系にダメージを与えていく
タバコは吸うものですから次第に呼吸器系へとダメージを与えていくことになります。
具体的には肺を始めとして、口腔や咽頭、食道などを刺激してしまうのです。
例えるなら口内炎の時にタバコを吸うと激痛が走りますが、これも良く無いことなのでしょう。
【関連記事】 電子タバコを使用してから口内炎が増えた?考えられる原因
タバコが原因となる病気としては「肺気種」があります。
煙が肺に到達するとそれが刺激となり肺に炎症を引き起こし、やがて肺の細胞を壊すことになってしまうのです。
こうなると酸素を十分に取り込めませんから息切れしやすくなってしまいます。
気管支に慢性の炎症を引き起こす原因にもなったりします。特に痰や咳がひどい方はタバコ由来の病気にかかっているかもしれません。
大気汚染によっても引き起こされるメジャーな疾患です。
よく耳にするCOPDの正体
タバコの害としてはかつては肺ガンが叫ばれていましたが、近年ではCOPDが主張されるようになってきました。
COPDというのは慢性閉塞性肺疾患の略称で、上で挙げた慢性の気管支炎や肺気腫などの総称になります。
いわば気管支系の病気をまとめて読んだようなものであり、新しい病気というわけではありません。
COPDにかかると特に危険なのが風邪やインフルエンザといった病気に罹ったときです。
呼吸器系に炎症が起こり息をするのも苦しくなると生命の危機にも及ぶでしょう。
やはりできるなら避けておきたい病気といえます。
呼吸器系以外のタバコの影響
タバコの害は呼吸器だけに留まりません。
COPDや呼吸器系のガンにならなかったからといって安心はできないのです。
普段吸っていると「本当にそんなに悪いものなの?」と思うかもしれませんが、タバコの怖いところは自覚症状が無いところ。
まずは脳卒中です。ニコチンは脳に作用して快楽や覚醒をもたらすだけでなく、血管の収縮作用や血圧の上昇作用などももたらします。
そこに追撃を加えるのが一酸化炭素。血中の酸素濃度を下げ赤血球の数を増やし、動脈硬化になりやすい血管を作ってしまうのです。
そのため喫煙をすると、脳卒中ならびに心筋梗塞の可能性が高くなってしまいます。血管系の病気は自覚できないので怖いところです。
ストレスの原因ともいえる
タバコを吸うと心の底から安らぐもので、この瞬間、ストレスから解放されるものです。特別な苦労をしたときは格別においしいもの。
そのためタバコはストレスを解消するのに良い道具です。
ただニコチンが切れれば話は別。目は喫煙所を必死で探しますし、口の中には物足りなさが急激に襲ってきます。
そんなとき、イライラしたり焦ったりするなら、それはタバコが原因のストレスということができるでしょう。
タバコは確かに極上の瞬間を味あわせてくれるのですが、それ以上にイライラの原因ともなるのです。
糖尿病を引き起こす地盤を作ってしまう
生活習慣病の代表的な存在である糖尿病の原因にもタバコは関わっています。
糖尿病は血液中の糖が上手く処理できなくなり発症する病気なのですが、その血管をニコチンが狭めてしまうのです。
狭くなった血管は糖の輸送が滞りますし、一酸化炭素により赤血球の増産が始まりより血液はどろどろしてしまいます。
そうなればいつ血中の糖が血管を傷つけてもおかしくありません。
糖尿病は症状が進行すると命を落とすこともあるので警戒すべき病気です。